ニューズレターの第10号及び第11号で報告しましたように、13人の東大生と8人の米国学生がFUTIグローバル・リーダーシップ賞 (FUTI-GLA)を受賞しました。
東大生13人の中3人はイェール大学、 カリフォルニア大学(UC) バークレー校での英語研修講座、2人はUC バークレーでのGSP、他の6人はハーバード大学、オハイオ州立大学、UC バークレー、UCLA, ウェスターン・ミシガン大学、イェール大学での様々のサマー・コースに参加しました。
一方米国からのFUTI-GLA受賞者8人のうち4人は東大理学部のインターンシップ・プログラム(UTRIP)に参加しました。この4人は全米各地からの応募者74名の中から選抜されました。UC バークレーの学生1人が東大・イノベーション・サマー・プログラム(TISP)に、イェール大学の学生2人が東大でのグローバル・サマー・プログラム(GSP)に参加しました。さらに、東大「教養学部英語コース」(PEAK) に2014年秋から入学したニューヨーク市のスタイヴァサン高校卒業生1人にFUTIからトラベル奨学金が授与されました。
2014度受賞者の名簿とレポートはFUTIウエブサイトのニュース・セクションとFUTIのブログに掲載されます。レポート全文をご覧になるには、ここをクリックしてください。
東大生達からのレポートのハイライト
アメリカで夏を経験した13人の東大生は異句同音に「授業からも、教室の外でも大変多くを学んだ。世界と日本についての視野を大きく広げることができ、将来のキャリア・プランを再考する良い機会になった」と述べています。 小林久志FUTI理事長は「この夏を米国で過ごした東大生の多くが米国の大学院留学やポスト・ドク研究員への道を真剣に考え始めているようです」と感想をのべています。以下にレポートからの抜粋のいくつかを掲載します。
宇田川晴加, 教養学部文科2類2年:
ハーバード大学サマースクールコース「戦略と紛争」を受講することにより私は自分の専攻と将来の目標設定をすることができました。ハーバード大学サマースクールに行く前は、私は国際関係と経済の両方に興味を持っていました。しかし、このコースを取ることにより経済貿易は実際に戦争を防ぐことが出来ることを実感しました。したがって経済を学ぶことは、日本が世界の諸国とよりよい関係を築く為に私がより大きな役割を果たすのに役立つ平和的なスキルを身につけることができます。
林 泉, 機械情報工学科3年:
イェール大学での経験により私は成長しました。 6週間の学習により、私はクラスで発言を多くできるようになり、英語でのコミュニケーションも楽になりました。私はこのイェール大学でのサマープログラムを他の東大生に強く推薦します。私の人生で最も貴重な経験の一つでした。
千葉 滋, 教養学部理科3類2年:
私は国境を越えて多数の患者を治療する一流の医師になりたいという夢を持っています。今年はバークレー校夏期英語語学コースに参加しましたが、この経験は私の夢を実現する第一歩でした。世界中から集まってきた学生達が将来を語り、世界がどのように変わっていくだろうか、どんな職業に将来就こうか、どのようにして変わりつつある世界に貢献できるだろうか、などと話すのを聞くことは大変素晴らしい経験でした。私はこれらの学生と将来再会して人生行路について語りあうのを楽しみにしています。
マームド・カリル( Mahmoud Khalil )
環境システム学専攻博士3年:
ウェスターン・ミシガン大学, 水理地質学実地コース
2014年7月7日から8月16日までの、この集中研修プログラム「水理地質学実地研修コース(HFC)は参加者に現場(フィールド)での水理地質学の手法と概念の実践的知識を教えることを目的とし、フィールド・データの理解を深め、分析する機会を提供するように設計されています。私は地下水の環境問題に関心があるので、このコースからは、東大博士課程での研究のために求めていた知識と経験を得ることができました。
アメリカの学生達からのレポートのハイライト
米国大学からの11人の学生は異口同音に東大で研究の面で貴重な技術と経験を体得し、東大と、そのプログラム、そして日本の文化と社会に対し、大変好意的な印象を持って帰国しました。
プラモド・ガナパシ (Pramodh Ganapathy)
デューク大学、進化人類学、4年: UTRIP, 野崎久義教授研究室
野崎研究室でのプロジェクトは確かに挑戦的な、時には苛立たしくも感ずる難しいものでした。時々朝早くから研究室に行き、終電車で家に帰らねばならぬこともありました。しかし研究室の人達は誰も私の傍にいてくれて、私にとって難解な問題を克服するのを支援してくれました。。。。詰まるところ、私にとってこの夏の過し方としてはこれ以上の所があったとは考えられません。確かに難しく辛いことも沢山ありましたが、楽しいことも沢山ありました。なんだかんだで、これらの経験を総合しますと私の成長と沈思の忘れがたい時になりました。
ケヴン・ホッホシュトラッサー(Kevin Hochstrasser)
イェール大学、化学、3年: UTRIP, 程 久美子教授研究室
この夏の私の目標はヒト胚腎臓細胞の中に三種類のmiRNA (ミクロのリボン核酸)遺伝子のノックアウトを生成することでした。。。。総じて言えば、研究室での経験は成功でしたし、私にとって勉強になり、また思い出深いものでした。。。。私は日本の文化が、これまで私が同化してきたアメリカやヨーロッパの文化とこれほど違うとは予期していませんでした。日本人は大変礼儀正しく、親切で、思いやりがあります。。。。何よりも強く感銘を受けたのは、日本人がお互いに、そして彼等の文化に初めて触れる外国人に対しても、敬意を払うことです。
ケヴン・ゾウ (Kevin Zhou)
イェール大学、医用生体工学、3年: 東大でのIARU GSP
東大での正規のプログラムから得た経験とか知識に関しても色々と述べることはありますが、最も貴重な経験は教室外で新しい人達に会ったり、日本や世界中からの人達と友達なるようなアドヴェンチャーでした。私は沢山の人達と素晴らしい友達になり、一緒に東京を探索しました。。。。IARU GSPを通して日本で過ごした一ヶ月はこれまでに経験した事がないほど素晴らしく、これまでの夏で一番良いものだった事は疑いの余地がありません。私の人生を変えるプログラムでした。
ジェニー・イェジン・ビュン (Jenny Yejin Byun)
カリフォルニア大学バークレー校: TISP2014 堀井秀之教授
私の参加したプログラムは人生に最も大きな変革をもたらしたプログラムの一つでした。TISP 2014のテーマ「地域でのイノベーション」、即ち夫々の地域に特有な問題点を考慮したイノベーション、でありました。目標は被災地を活性化するための地域的なイノベーションを如何にして創造すべきかを学ぶことでした。海外からの学生30人と東大生30人、ワークショップやプレゼンテーションで2週間協力しました。。。。年齢、経験、とか職業による通常の境界線に捉われず、或る特定の目標を目指して一緒に仕事をする事に大きな開放感を感じました。そして更にプログラムの多様性が創造的な解答を見出す為の私達の能力をより強化しました。最後に、TISP2014は私の考え方を変えました。学んだことを、これからの私のキャリアのために大事に維持したいと思います。私(の滞在中の)ファシリテータの方々、堀井秀之先生, 岩手県遠野町の方々、そしてこの眼を見張るような経験をさせて下さったFUTIに深く感謝致します。
奨学金授賞者リスト
英語研修講座 (3人の東大生)
英語研修以外の講座 (8人の東大生)
- 井上 茜,教養学科、北アメリカ研究コース、4年: カリフォルニア大学ロサンゼルス校ビジネススクール「メディア、エンターテイメント、スポーツの分野における企業の管理」
- 岩田大輝, 都市工学修士2年 : UC バークレーのサマー・スクール
- 宇田川晴加, 教養学部文化2類 2年 : ハーバード大学のサマー・スクール
- 藤永清乃, 言語情報科学修士2年 : UC バークレーのサマー・スクール
- Zang, Xiaoxue , 教養学部理科1類2年 : イェール大学のサマー・スクール
- 柿沼優花, 経済学部, マーケティング3年 : UC バークレーのサマー・スクール
- 藤田彩也香, 教育学, 臨床心理学,修士2年 : オハイオ州立大学, 「語りの研究」プロジェクト夏季講習
- Khalil, Mahmoud, 環境システム学専攻、博士3年 : ウェスターン・ミシガン大学, 水理地質学実地コース
UC バークレーでのGSP (2人の東大生)
- 瀬川晶子 (化学工学4年): “Environmental Leadership Program”
- 宮澤 哲 (法学部、修士1年): “Media and Global Protest Movements”
東大でのUTRIP
- Taweewat Somboonpanyakul(シカゴ大学、物理3年), 田村元秀教授
- Kevin Hochstrasser (イェール大学化学3年)程 久美子教授
- Thong Nguyen(テキサス大学,、ダラス校、物理3年)相原博昭教授
- Pramodh Ganapathy(デューク大学、進化人類学、アジア&中東研究4年)野崎久義教授
東大でのTISP2014
- Jenny Yejin Byun(カリフォルニア大学バークレー校、政治学と総合生物学4年)堀井秀之教授
東大でのGSP
- Kevin Zhou(イェール大学、医用生体工学3年)
- Julie Chang (イェール大学、医用生体工学 3年)
東大でのPEAK
- Chiwu Ishido Kim、スタイヴァサン高校(ニューヨーク市)卒業
ニューズレター第12号の記事:
- 第5回の募金キャンペーン、過去の記録に及ばず
- 理事会年次総会および諮問委員との合同会議開催される
- FUTI のウェブサイト新規に再設計
- 2014年「東大友の会」奨学金受賞者のレポートからの抜粋
- コロンビア大ー東大の共同チームとバークレーのBCTP-東大カブリIPMU のプログラムを、FUTIが引き続き研究支援
- GSPとUTRIPの学生を迎えてレセプション
- 第8回「東京大学基金感謝の集い」開催される
- 「感謝の集い」出席と本郷キャンパスへの再訪問:コー・ヤン・タン(董克勇)
- 東大PEAKに入学のStuyvesant高校のKimさんに、東大友の会から渡航費
- 山路一隆氏ニューヨークにて講演
- エボラ出血熱、感染拡大に備えて:桑間理事がテレビで解説
本号の執筆者は 泉 泰行、大迫政子、桑間雄一郎、小林久志、松下重悳、董克勇(コー・ヤン・タン)、山田雅章。英文のエ ディターはブライアン・マーク(Brian L. Mark, ジョージ・メイソン大学教授)。