左の肖像画はつい最近まで170年以上もの間、フランスの数学者アドリアン・マリー・ルジャンドル(1752-1833)の肖像画としてすべての数学史の本に載っていた。しかし2005年にストラスブルグ大学の二人の学生が、それは政治家のルイ・ルジャンドルの顔であって数学者ルジャンドルとは無関係であることを発見してちょっとした騒ぎになった。
そして本当の肖像画の捜索が始まった。2008年になってフランス学士院の図書館の貴重本の一つに、その肖像画のあることが見つかった。それは1820年の学士院会員73人を描いた水彩肖像画のアルバムであった。ただし、それは普通の絵ではなく風刺画(右)であった。これが現存する唯一のルジャンドルの肖像画で、ウィペデイアなどにもこれが数学者ルジャンドルの肖像画として使われている。
http://en.wikipedia.org/wiki/Adrien-Marie_Legendre
この逸話を「顔を失った二人の数学者」と題して紹介しているのが小林昭七著「顔をなくした数学者:数学つれづれ」である。
桑港赤門会の最長老会員であったカリフォルニア大学バークレー校数学科名誉教授小林昭七氏(FUTI 理事長小林久志教授の実兄)の遺稿随筆集が岩波書店から7月30日に発行された。
(出版社のウェブサイトより)「 微分幾何および複素多様体の研究で,世界的な業績を挙げた著者の初のエッセイ集.「数学徒然」と題して書き留められた小片は,けっきょく完成を待たず遺稿となった.数学者の実像や数学記号がどんなふうに生まれたか,また「数学の美」とは何かといったエッセイから,数学および数学者に対する著者の深い思いが伝わってくる。
岩波書店編集部からのメッセージおよび目次を見るにはURL http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?head=y&isbn=ISBN4-00-005217 をクリックし、右下のMORE INFO をクリック。
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