GSPとUTRIPの学生を迎えてレセプション: 松下重悳
7月中旬に東大で、GSPとUTRIPプログラムに参加した学生を迎えてレセプションが行われ、参加の好機を得たのでご報告する。併せて両プログラムを若干ご報告する。喜ばしいことに両プログラムのFUTIの奨学生は、奨学生選考委員会で期待されたように、いずれも優秀な積極的で社交的な学生達であった。
GSPとUTRIPのプログラムで夏季に東大で学んでいる全世界からの学生達のためにレセプションが行われた。このプログラムは東大の国際化努力の一環である。7月中旬は学生全員が出席するのに便利な時期だ。前期の学生が滞在を終えようとしており、後期の学生は東大での生活を始めたばかりだからだ。
GSPレセプション:
GSPの歓送迎パーティは東大の山上会館で7月11日に行われ、東大国際センター藤原帰一教授の開会挨拶で始まった。
東大を含めて世界の10大学から46名の学部学生全員が出席した。東大の約20名の学生のほとんどは既に海外に出ており、海外のプログラムがこれから始まる4名だけが出席した。7名の教授と12名のスタッフも席を共にした。
FUTIからは伊藤澄子女史(写真右端)と私(左端)が代表出席した。FUTI奨学生で2名ともイェール大からのMs. Julie Chang とMr. Kelvin Zhou(写真中央の二人)とも同席した。2人はGSPプログラムのナノ科学のコースを取った。期待通りの優秀で積極的な学生で、2人揃って東大のスクールカラーで現れた。
GSPは、The International Alliance of Research Universities 略称IARUのプログラムである。IARUは次の10大学で構成されている。オーストラリア国立大学、チューリッヒ工科大学、シンガポール国立大学、北京大学、カリフォルニア大学バークレー校、ケンブリッジ大学、 コペンハーゲン大学、オックスフォード大学、東京大学、イェール大学。
IARUの旗艦的な活動の1つがThe Global Summer Program 略称GSPで、「世界人の感覚とリーダシップを醸成」することを目的にしている。各大学は夏季に数コースを提供する。例えば東大は2014年に、いずれも英語で授業を行う次の4コースを提供し、次の人数の学生を受け入れた。日本語入門(9名。他のコース選択が必須)、Sustainable Urban Management (14)、Japan in Today’s World (12)、Nanoscience (16)。最初の2コースは6月30日から7月11日まで、あとの2コースは7月10日に始まり7月18日または23日までだった。例えばJapan in Today’s Worldでは、日本の政治システムへの導入授業の後、Post Disaster Relief after the Earthquake と Territorial Disputes and Nationalism に関して、学生相互間および教授との間の討議が促された。各大学は3名乃至6名の学生を東大に送った。奨学金はIARU、FUTI、各大学から提供される。
東大のUniversity-wide Student Exchange Program (USTEP) Office の五所恵美子コーデイネーターが流暢な英語でパーティを司会した。私はFUTI奨学生選考委員会を代表して発言を求められたが、時間が無かったので、次の四つの事項を列挙するに留まった。おめでとう;FOTIはFUTIになった;FUTI奨学金に応募を;FUTI Facebookに参加を。各大学からは代表1名の学生が簡単な挨拶をした。私のスピーチ中に写真を撮ってくれた人が居た。
UTRIP レセプション:
UTRIPのレセプションは7月15日に東大病院の最上階で行われ、理学系研究科科長の五神真教授の開会の辞で始まった。University of Tokyo Research Internship Program 略称UTRIPは、東大大学院理学系研究科の独自の夏季プログラムである。研究環境への導入プログラムであって、海外の才能ある3年生・4年生を招いて理学系の国際化を図る目的で、大学院に親しんで貰うよう大学院教員が研究を指導する。物理学、天文学、化学、地球惑星科学、生物科学の5学科がプログラムを提供した。
レセプションは世界中からの29名の学生全員が出席した。内10名が6月12日から7月23日までの前期、19名が7月1日から8月8日までの後期だった。学生達の国籍が興味深かった。米国人8名(全員米国大学)、中国人6名(4名北京大、カリフォルニア大とシンガポールのナンヤン工科大)、タイ人3名(ケンブリッジ大2、シカゴ大)、他10カ国から各1-2名。大学別では米国の大学12名(内5名はカリフォルニア大。外国人が3名)、英国の大学9名(内4名がケンブリッジ大。外国人が8名)、中国は北京大だけで4名、インドの2大学とシンガポールの2大学から各1だった。
大和証券は8年前に大きな金額を寄付し、それを東大が奨学金に使っている。今年は5名の学生に奨学金が供与された。その関係で大和の幹部が招かれ挨拶をした。FUTIは今年4名の学生に奨学金を支給したので、FUTIを代表して伊藤澄子女史と私が挨拶をした。理学系研究科国際化推進室の作田千絵講師が素晴らしい英語で司会をし、学生全員が1分間づつスピーチをした。
4名のFUTI奨学生は全員同席した。写真の左から:アメリカ人のKevin Hochstrasser 君は イェール大で生物科学専攻。タイ人のTaweewat Somboonpanyakul 君はシカゴ大で天文学専攻。アメリカ人 Pramodh Ganapathy 君はデューク大で生物科学専攻。ベトナム人Thong Nguyen君はテキサス大学ダラス校で
物理専攻。中央は東大基金の山路渉外本部長である。学生は期待通り全員才能豊かなナイスガイだった。
秀逸なジョークを思い付いたのは残念ながらスピーチの後だった。「FUTIはどうやって奨学生を選んだかご存知ですか? お名前の難しさの順に選びました。」と言えば良かった。少々時間をとって話しても良さそうだったので、GSPで話した四項目の他に、稲盛和夫氏の人生の方程式(「生き方」稲盛和夫 サンマーク出版)についてお話した。稲盛氏は周知のように仏教の在家得度をした82歳のビジネスマンで、大成功の京セラを創立し最近では破産した日本航空(JAL)を救済した。方程式は
人生・仕事の結果=(正しい)考え方×熱意×能力
但し能力や才能は天からの借り物で、自分のためではなく天のため世のために使えとしており、これが正しい考え方の重要な要件だと言っている。495名の希望者から東大が選んだ29名の才能ある学生にはこれが大事だと考えた。
FUTI奨学生選考委員会の新人メンバとしての私には、GSPとUTRIPプログラムにもっと通じ、プログラムに参加している教授や学生達に会いお話することが大事だった。この2つのパーティで、とりわけ次の点を強く感じた。学生全員、特にFUTI奨学生は、選考委員会で期待したように優秀で積極的で社交的に見えた。今から何十年か後の世界のリーダと会い、話をしているように感じた。将来のリーダは、GSPで見ると半数が女性で半数が東洋人、UTRIPで見ると1/3が女性で60%が東洋人になりそうだ。
しかも将来のリーダは、出身国や国籍に関わらず生得の流暢な英語かそれに近い英語を話すだろう。大人と、全員が流暢な英語を操る学生との間に英語の堪能さに或る程度のギャップを感じた。
GSPで東大は外国から42名の学生を受け入れた反面、東大生は20名しか海外に出なかった。この数字は大体同じであるべきだ。東大生の奨学金希望者を選考する過程で、多くの希望者がリピータであることが注目された。留学は東大生の間で必ずしも一般的な望みではないように見えた。東大生の国際化はもっと推進しなければならぬようだ。
実に刺激的な体験であった。
(2014年7月23日)
ニューズレター第12号の記事:
- 第5回の募金キャンペーン、過去の記録に及ばず
- 理事会年次総会および諮問委員との合同会議開催される
- FUTI のウェブサイト新規に再設計
- 2014年「東大友の会」奨学金受賞者のレポートからの抜粋
- コロンビア大ー東大の共同チームとバークレーのBCTP-東大カブリIPMU のプログラムを、FUTIが引き続き研究支援
- GSPとUTRIPの学生を迎えてレセプション
- 第8回「東京大学基金感謝の集い」開催される
- 「感謝の集い」出席と本郷キャンパスへの再訪問:コー・ヤン・タン(董克勇)
- 東大PEAKに入学のStuyvesant高校のKimさんに、東大友の会から渡航費
- 山路一隆氏ニューヨークにて講演
- エボラ出血熱、感染拡大に備えて:桑間理事がテレビで解説
本号の執筆者は 泉 泰行、大迫政子、桑間雄一郎、小林久志、松下重悳、董克勇(コー・ヤン・タン)、山田雅章。英文のエ ディターはブライアン・マーク(Brian L. Mark, ジョージ・メイソン大学教授)。