ニューズレター第15号で報告しましたように、6人の東大生と8人の米国学生がFUTIの夏季奨学金(正式名称、FUTI グローバル・リーダーシップ賞、FUTI-GLA)を受賞しました。この奨学金は米国と日本における将来のグローバル・リーダーの育成を目標としており、リーダーとしての資質を有することが選考基準の一つになっています。ここでは、奨学生から届いたサマースクール体験記をご紹介します。
選考で選ばれた東大生6人は、UCバークレー校、スタンフォード大学、ミシガン大学、イェール大学など米国の大学でのサマー・コースを受講しました。東大生の専攻別の内訳は、FUTIプログラム応募時点で、理工系が2人、文科系が3人、PEAK (Program in English at Komaba、教養学部英語コース) 在籍者1人です。学年別では、学部生が4人(`年生1人、2年生1人、4年生2人)、大学院生が2人(修士課程1年生1人、同2年生1人)です。今年度はグローバル・サマー・プログラム(GSP)及び英語研修コースへの参加者はいませんでした。
米国大学生8人に関しては、5人が東大理学系又は工学系の研究室でインターンとして研鑽を積みました。この5人のうち3人は、理学部教授がホスト役として研究指導に当たるサマー・インターンシップ・プログラム( University of Tokyo Research Internship Program 、UTRIP) 参加者で、別の1人は新領域創成科学研究科の主催するサマー・インターンシップ・プログラム(University of Tokyo Summer Internship Program in Kashiwa、UTSIP Kashiwa)に参加しました。FUTIサマー・スカラシップの競争率は非常に高く、たとえば、UTRIP参加者3人は米国各地の大学から応募した40余名の中から選抜されました。応募者の多くが米国の一流大学のトップクラスの学生達でした。上記のインターン生以外の3人は、イェール大学(4年生、2人)とUC バークレー校(2年生、1人)の学生で東大のGSPに参加しました。さらに、東大教養学部英語コース(PEAK) に2016年秋に入学したミシシッピー州の高校卒業生1人にFUTIからトラベル奨学金が授与されました。
2016年度サマー・スカラシップ受賞者の名簿はFUTIウェブサイトに掲載されています。レポート全文をご覧になるには、ここをクリックしてください。
また、これもニューズレター第15号で既報の通りですが、2016年度は、サマー・スカラシップに加えて「米国伊藤財団-FUTI奨学金」(ITO FOUNDATION U.S.A.-FUTI Scholarship)が9人の東大生に付与されました。これは、1学期(セメスター)以上の中長期留学を対象とした奨学金です。奨学生のレポートは後日ホームページに掲載される予定です。https://www.todaitomonokai.org/米国伊藤財団-futi奨学金から10名の奨学生/
東大生のレポートからの抜粋
アメリカで夏を経験した6人の東大生は異口同音に「授業や実験は密度が濃く貴重な経験だった。学業面でも文化面でも視野が拡がり、将来を考えるきっかけになった」と述べています。さらに、 「新しい多国籍の友人ができ、グローバルな人脈を作るきっかけになった」と語っています。以下、レポートからの抜粋を掲載します。
打越文弥
社会学、修士、2年
ミシガン大学でのICPSRサマープログラム
ミシガン大学アナーバー校で開催されたICPSRサマープログラムに参加しました。ICPSRは世界各国の大学が加盟する組織ですが、政治・社会学系のさまざまな調査データをアーカイブし、そうしたデータを分析する機会や分析手法のトレーニングを世界中の研究者に提供することをその役割としています。この夏の経験は私の研究者としての今後のキャリア形成にとって非常に有意義なものだったと確信しています。このプログラムを通して、当初の予想をはるかに超える成果を上げられました。ICPSRで世界各国の大学院生と話ができたので、いろいろな経験を彼らと直に共有し、これからも広がっていく専門家ネットワークを構築することができました。
関 彩花
東京大学、理科三類、1年
イェール大学サマースクール
「心理学入門」および「細胞生物学」
イェール大のコースはチャレンジングなものでした。そして日本では気がつかなかったことに気づかせてくれました。例えば、東大の生物のクラスでは、単に教科書を読んで、教授の講義を聞くだけでした。しかし、イェールでは「細胞/セル」のある特定の機能がどのように「癌」と関係しているのかについて、私自身の解釈を述べることを要求されました。このような貴重な機会を与えてくださった東大友の会に深く感謝しています。この夏に学んだことを今後最大限に活用できるよう引き続き努力していきたいと思います。
米国大学生のレポートからの抜粋
8人の米国大学生は、例外なく、有益なリサーチ技術・知識を習得し、貴重な経験を積んだと報告しています。彼らの多くは、茶道など 日本の伝統文化に触れ、また観光地を訪れたりすることなどにより、独自性の高い日本の文化や社会を高く評価するようになったと語っています。
デイビット・バーク
インディアナ大学、化学、3年
東大リサーチインターンシッププログラム、塩谷光彦研究室
東大でのmetal-macrocycle frameworksのリサーチを通して、新しい実験技術を学び、研究領域を大きく広げることができました。このことは大学院およびそれ以降の研究を進めるうえで大きな助けになると思います。多くの東大生との交友に恵まれましたし、日本での大学院プログラムについて理解を深めることもできました。UTRIPでの経験はまさに「一生に一度の機会」と言えるもので、日本、日本文化および日本人に対して深い尊敬の念を持つことができました。私は近い将来、日本に戻りたいと願っています。
ティアニ・ドン
カリフォルニア大学バーレー校、歴史、2年
グローバル・サマー・プログラム(現代世界における日本)
私が参加したGSPの最後の授業では、日本人学生が中国政府、外国人学生が日本政府の役割を演じて、尖閣/魚釣島の紛争について議論しました。我々が直面しているグローバルな問題を最善かつ最も正当な方法で解決するには、国際間の協力が必要だと私は考えます。日本の民主化、近代化、および平和へのコミットメントが現代世界の直面する諸々の課題の解決にいっそう貢献することを強く願っています。東大友の会の奨学金のおかげで貴重な経験を積むことができ大変感謝しています。