古谷教授の海の砂漠化に関するご講演(於New York)

FUTI理事で東大理事・副学長の古谷研教授のNew York来訪を機に、「広がる海の砂漠」という講演と懇親会が9月30日夜に市内 Morrison & Foerster LLPで行われた。

古谷教授は、東大で学士・修士・博士の学位を取られ、東大大学院の農学生命科学研究科の科長を務められた。専門は生物海洋学で、特に海の植物プランクトンとそれが生態系における役割である。ユネスコ政府間海洋学委員会の共同プログラムである「有害藻の生態学・海洋学(GEOHAB)」 を初め、多数の国際的な海洋学の委員会で活躍して来られた。

講演で古谷教授は、植物プランクトンの役割を含めて、海の砂漠化の込み入った話題を取り上げた。海の砂漠とは、動植物の生命体が極端に乏しい海の領域と定義し、こういう領域の発生に寄与する可能性がある要因を概観した。さらに、地球温暖化の海洋への有害な影響を特に指摘した。

地球表面の70%が海で、その60%(つまり地球表面の約40%)が、現在海の砂漠領域と考えられている亜熱帯の海であることが指摘された。この海の砂漠領域の拡大の意味、特に広範囲の海洋生物への潜在的なインパクトが取り上げられた。詳細はこちら

教授は結論として次のように述べた。「地球規模で進行している環境変化は、海の生態系の恵みに依存して来た人類にとって重要な問題点である。海が危機に晒されているということは、人類そのものが危機にあるということだ。人類が国境を越えて協力し、この問題に解決策を見出すことは必須である。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」 は、それを強く迫っている。」

教授の講義の後、刺激的な質疑応答が行われ、その後非公式なレセプションがあった。


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