2020年度FUTI奨学金事業の実施状況

2020年は何も彼もCOVID-19で大きな影響を受けましたが、FUTIの奨学金事業も大変でした。まず2019年度の奨学金で米国に留学中だった奨学生が、米国での第1波2020年4-5月にOnline授業に切り替わりました。その内何人かは、米国における流行の激しさと身近な学生仲間の罹患に恐れをなし、どうせOnlineなら流行が数十分の一で済んでいた日本で受講したいと、FUTIと相談の上で日本に帰国しました。日本では真夜中に起きて受講することになり、それはそれで大変でした。幸い在米組も帰国組も勉学の目的は達成できたようで、良かったです。FUTIでは急遽、勉学形態が変わった場合の奨学金の清算方法を定めて公開しました。奨学生の咎ではない理由での変更ですし、FUTIが個々人の健康管理に責任が持てるはずもないので、奨学生の意思を尊重し、また金銭的に困らないように配慮したため、奨学金の返済は発生しませんでした。

2020年度の奨学生は、米国の第1波より前に選考し、夏季短期留学のFUTI奨学金では13名の米大学生と7名の東大生、1学期以上の中長期留学の米国伊藤財団-FUTI奨学金では10名の東大生・過年度生を選考しました。COVID-19による影響を或る程度予測しつつ、対案を厚めに見積もっての選考でしたが、直後に米国も日本もほぼ同時に予測を上回る流行が発生し、甚大な影響の対処に忙殺されました。

夏季短期留学では、当初は心配した親に止められた学生が散発しましたが、結局は米大と東大で予定していたProgramが全て中止となり、一切渡航が出来なくなりました。辛うじて3名の東大生が、日本で米大のOnline授業を受講することになり、支援させて頂きました。

中長期留学でも、東大の送り出しProgramが中止になり、また米大の受入れ中止があり、米国でのOnline受講を嫌って留学を延期した人も居ました。せっかく留学計画が整い青雲の志で出掛ける直前に出鼻を挫かれた方々の無念を感じましたが、こればかりは不可抗力です。結局COVID-19の影響で6名が断念せざるを得ず、2020年内に奨学金を支給できたのは4名に留まりました。春学期から1-2名が追加で留学できるかも知れない可能性が僅かながら残っています。4名の内訳は、既に留学していて米国でのOnline授業に踏み止まった方が2名と、厳しくなったVisaを更新および新規取得で突破して渡米した2名でした。2021年度は、ニュースで話題になっているワクチンが効いて留学事情が好転することを切に希望しつつ、しかしそうならない可能性も考えて奨学生を募集する方針です。即ち、当初から母国でOnlineで受講する場合、または一般公開されたMOOCを受講する場合も含めて、支援しようと考えています。早くCOVID-19の悪影響から脱却したいです。

ニューズレター第24号の記事: