東大友の会では2012-16奨学生の有志から「近況報告」を寄せていただき写真付きエッセイを”FUTI 奨学生 (2012-16) からの報告”と題して、フェースブックの当会ページに2018年8月、9月掲載しました。2012-16年度奨学生は日本人学生、米国人学生全員で100名ほどですが、その内30名ほどからエッセイが届き、22件がFBに掲載されました。エッセイを読むと奨学生の多くが 数年前の海外留学経験が「eye opening」であり、その後の方針を決めるのに大きな影響を与えたと言っています。フェースブックによると、当シリーズの記事は200からの1400人以上の視聴者に達し、“いいね”の数は15から60になります。“いいね”をクリックしてくださった方にはFUTI 奨学生が多数含まれます。「FUTI 奨学生」を対象とする同窓会を望む方も多いようです。
エッセイを送ってくれた奨学生は、東大生、米国人学生が各々ほぼ半数です。大多数がプリンストン、ハーバード、コロンビア、オックスフォードおよび東大を含む米国またはヨーロッパの大学の PhD プログラムに在学しています。一方、20%ほどは、投資銀行、IT、自動車および広告業などの企業に勤務しています。
コメントをよせてくれた元奨学生の数は統計的には数は多いとは言えません。しかし、彼らの記事を通して、彼らの見解と経験を垣間見ることは可能のようです。例えば以下のコメントが聞かれます。
- 留学経験はその後の方針を決めるのに役立った。
- 米国大学サマースクールでの英語研修は部活、スポーツで忙しく英語力向上に使う時間のなかった学生にとって特に貴重だった。
- FUTI アラムナイを対象とする親睦会を東京、ニューヨークなどでひらけないだろうか?
- FBポストを読んで、大変刺激を受けました。今後もこのシリーズを続けてはどうだろうか?
以下に3人の奨学生のポスト(抜粋)を紹介します。興味のおありの方は、全文を読まれることを強くお勧めします。www.facebook.com/friendsofutokyo
千葉滋さん
FUTIスカラシップ: UCバークレイ校大学での英語研修のため
受賞当時所属:東大理科三類2年
現在所属:東大医学部6年
私が4年前に東大友の会の奨学生となり、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校へ留学した際は、まだ医学部へ進学する前、理科三類の2年生でした。 私が2年生で奨学生として賞をいただいたとき、「国境を越えて、様々な人を診ることのできる一流の医者になりたい」という思いを留学後のレポートで綴ったことを記憶しています。その思いは未だに変わっておりません。19歳の夏に米国で触れた多様性というものは、私の心の中で常に渦巻いていて、熱いモチベーションを与え続けてくれています。
今年の初めには、海外の病院に留学して臨床実習をする機会にも恵まれました。4年前のアメリカでの経験から、ぜひとも挑戦しようと考え、シドニー大学の関連病院であるロイヤルノースショアホスピタルの総合診療科の実習に応募しました。この留学を経て、人種の違いやそこから生まれる疾患の違い、また、施行される検査の違いや投薬の違いなど、日本とオーストラリアでの医療における相違点に気づくこともありましたが、むしろ両者の共通点を強く意識することになりました。それは、「医療者というものはどの国でも、どんな患者に対しても最善を尽くす」ということでした。
古澤えりさん
東大工学部、2016年卒;コロンビア大学建築・都市計画修士課程、2018卒;
米国伊藤財団-FUTI奨学金(2016-18年度)
米国伊藤財団-FUTI奨学金により、世界で最も活気に満ちた都市の一つであるNew Yorkでアーバンプラニングの研究に没頭することができました。この5月の卒業式では、都市計画学専攻の 「最優秀賞」にあたる,American Institute of Certified Planners Outstanding Student Award を受賞しました 。卒業後、ニューヨーク市の都市計画課でアーバンデザイナーとして勤務していますが、 出来るだけ多くを吸収し, 日本の都市計画分野に貢献できるよう経験を積みたい思います。 このような機会を与えてくださった米国伊藤財団と東大友の会の皆様に心より感謝申し上げます。
デービッド・バーク
インディアナ大学2016年卒;ノースウエスタン大、化学、博士課程2年
FUTI国際リーダーシップ賞受賞(2016)
UTRIPプログラムで参加した塩谷光彦生物無機化学ラボラトリィでのインターンシップでは、非常に有益な経験を積むことができ、 将来の研究興味やキャリアプラン形成に役立ちました。現在、ノースウェスタン大学ナノテクノロジー国際研究所の博士課程(化学)に在籍しており、ウィリアム・ディクテル教授の指導のもとに、水質浄化や海水淡水化などの環境関連物質を化学的に分離できる新しい「膜」を作る技術の設計に焦点を当てて研究しています。
シリーズ終了後に元 FUTI 奨学生(FUTI 同窓生)の何人かが「近況報告」についての感想を寄せています。
東海岸から西海岸までアメリカ中で同世代の優秀なFUTI奨学生が活躍しているのを今回のレポートで見聞きすることができとても刺激になった。自分自身の夢を叶える第一歩を応援してくれたFUTIに改めて感謝するのはもちろんだが、記事を読んで改めてFUTIは東大生の中でも特に向上心があって優秀な人材を支援してきたのだなあと感心するとともに、記事で見聞きするだけでなく何かより具体的なコミュニティづくり(同窓会や年会の企画など)をやりたいという意欲も湧いてきた。これからも定期的にレポートがあるととてもいいと思います!
FUTI のFB ページ上での近況報告に接し,受賞者の方々が,学術・研究・芸術・医術の多方面で活躍されていることに驚嘆し,大変刺激を受けました。彼ら・彼女らのストーリに描かれたキャリアパスは,東大にいるだけでは想像すら難しいものでしょう。私も,学部生のころにFUTI の支援を受けましたが,ひと夏のサマースクールの経験が人生にどのような影響を与えるか,そのころは良くわかっていませんでした。FUTI の多様な支援プログラムの枠組みに,あらためて感謝します。今後は,FUTI の魅力である,世界各地で活躍している人材を活かし,同窓生同士や東大在学生との交流が,さらに深められることを期待します。