by Kanako Nagashima
東京大学法学部四年の永島加南子と申します。現在FUTI奨学金様、東大友の会(FUTI)様のご支援のもと、UCバークレーに留学しております。東京大学では法学を学んでおりますが、法学と国際政治の融合分野とも言われる国際通商専門の弁護士を志していることから、バークレーでは政治学、法学・政治学・経済学の融合分野を多角的に学んでおります。大学三年時に司法試験予備試験、大学四年時に司法試験に合格し、同年夏から一年間の留学に出発した次第です。国際通商分野では法律や国際政治の見識はもちろん、英語力やグローバルな教養も重要と考え、学部在学中に留学することを決意しました。
1、御礼
私が下記のような充実した学びあふれる留学生活を送ることができているのは、一重にFUTI奨学金様、東大友の会(FUTI)様のご支援のおかげです。誠に有難うございます。引き続きより多くのことを経験し、学んで帰って来られるよう、精進してまいります。
2、学業面
春学期も秋学期と同様、3つのクラスを履修しています。特に力を入れて取り組んでいるのがMarket Governance in the Digital Ageのクラスです。このクラスは日本政治ご専門のSteven Vogel教授が開講されているゼミ形式の授業です。Vogel先生の記事は日経のコラムなどで拝読して面白いなと以前から思っていて、留学前から履修を希望していた授業です。授業では「市場は自由放任では存在し得ず、政策などを通していかに良く作り上げていくか、ガバナンスしていくかどうかが肝要」という前提のもと、各国のビジネスの慣習、価値観、政治と産業界の関係などからどのような政策がなされ、それらの政策がマーケットにどのような影響を与えるのか、ということを比較検討しています。競争法、労働法、知的財産権、Attention Economyなど政治に加えて法律や経済など複数の学問分野が交錯する内容で、非常に興味深く感じています。通常ディスカッションは大学院生のGSIが担当することが多いですが、この授業ではディスカッションを教授自ら取り仕切り、学生の名前も覚えてくださるので、非常に貴重な機会です。日本、アメリカ、欧州の政策やマーケットストラクチャーを比較することが多く、教授は日本の企業グループや経済団体を具体例に挙げて説明されることが多いのですが、日本国内で見ていたニュースや慣習がこのように他国と比較され、どのように受け止められるのかということが分かり、新たな視点を得られているように感じます。
しかし、クラスに日本人学生は私一人で、留学生もほぼいません。悔しいことに、日本とアメリカの雇用形態、マーケットストラクチャーの構造の違いを授業で習った後に、「日本の会社で働くよりアメリカの会社で働く方がQuality of Lifeが高いよね」と言った、乱暴な意見を言うクラスメイトに衝撃を受けたこともありました。良い悪いではなく、それぞれの国のMarketの特徴、得意不得意を比較しているにも関わらず、日本への理解がないゆえにそのような偏見を持たれているように感じました。そのため、グループディスカッションで日本の経済政策や日本企業の慣習が話題になった時は、具体例を挙げながら説明するなどして、クラスメイトに日本の経済・社会について少しでもイメージを持ってもらえるように努力しています。
東大では法学と政治学を学んできましたが、バークレーでは上記の授業のように、経済学、法学、政治学、の融合分野について学びたいと思っています。秋学期もInternational Political Economyもそのような分野でしたし、経済学的な視点も身につけて、より多角的に物事を見ることができるように勉強していきたいと思います。
3、生活面
英語に関しては、まだ課題を感じることもありますが、留学前と比べると英語で不自由なく自分の意見や感情を適切に伝えることができるようになりましたし、寮の食堂で友人と話す時、授業で発言する際にも言葉に詰まることがかなり減り、嬉しく思っています。心を許せる友人も何人もできました。当初は、アメリカは日本よりもハイテンションな印象でしたので、無理に普段よりも明るく振る舞わないといけないのかなと思ったこともありましたが、そんなことは全くありませんでした。いつもと同じ自分で、同じようなテンションで、自分が感じたこと、意見を相手へのrespectを持って伝えることで、自然と気の合う方々と多く仲良くなることができました。言語が変わっても、しっかりと自分自身を持って、相手を尊重しながらコミュニケーションを取ることで素敵な友情に恵まれるということを改めて実感しました。
留学に関して一番意識することが多いのは、自分のアイデンティティです。22年間日本で生まれ育った私にとって、日本人としてのアイデンティティは以前から持っていましたが、留学中に日本のことを悪く言われて憤りを感じる時、授業で「世界の中の日本、世界から見た日本」を知った時…様々な場面で「ああ、私は日本人なんだ」と感じることが幾度もありました。自分が思っていた以上に、日本で生まれ育って、教育を受け、人格形成をしてきたということは自分にとって大きなことだったと気づくとともに、海外で生活していると、日本の良さに気づくことが多くあり、より日本に生まれ育ったことにより感謝するようになりました。文化や治安、食べ物など様々な面で私は日本が好きなのですが、一方で日本は確かに経済的には活力が少ないなと思ったこともありました。「国際通商・独禁法専門の弁護士になり、日本の繁栄に微力でも貢献したい」という想いが留学前からの私の志ですが、そのような気づきを経て、その志がより一層強くなりました。
4、最後に
このような貴重な経験をさせていただいていること、ご支援に重ねて御礼申し上げます。残りの留学生活も残すところ約3ヶ月となりました。悔いのないよう、一日一日を大切に、一生懸命過ごしてまいりたいと思います。


