by Haruki Sugimoto
東京大学大学院国際社会科学専攻相関社会科学コース修士1年の杉本遥と申します。本レポートは、2025年4月にPrinceton University Office of Population Research(以下OPR)に約1ヶ月の間、R教授、Friends of UTokyo, Inc. 様のご厚意により、研究滞在させて頂いたご報告です。
滞在の概要
OPRのVisiting Studentとして、Princeton Universityの教授との共同研究、セミナーへの出席、Population Association of America(以下PAA)という人口学の学会での2件の口頭発表を行いました。
研究・セミナー
私の研究関心は自然災害と人口にあり、環境・人口学分野で世界トップの研究者を擁するプリンストン大学は、私にとって最高の環境です。研究滞在の好機を活かすべく、特に関心の近い教授と幾度かミーティングを行い、既存のプロジェクトの抜本的修正に取り組んだほか、新たなプロジェクトを開始しました。
例えば胎児期の被災の負の影響に関して研究を行っているT教授からは、卒業論文を基にした津波と家族形成行動の変化について扱った研究に、とても有益なコメントを頂きました。帰国後にもZoomでミーティングを行い、改訂版への意見を頂くほか、新たなプロジェクトに関してお話しする予定です。
US-Mexico間の移住の第一人者であるG教授とは、自然災害がメキシコ内での移住、メキシコからアメリカへの移住に与える影響に関する共同研究をスタートしました。Mexican Migration Projectという、Princeton Universityが中心となり1982年以来収集し続けてきたデータを用い、分析を進めています。
上記のミーティングの他に、毎日のように開催される分野のトップ研究者の方々の発表に参加しました。中でも印象深いのは、学歴同類婚の第一人者であるWisconsin-Madison大学のS教授が行った、アメリカの離婚トレンドの推移に関する研究でした。セミナーに出席しているプリンストン大学の教授陣から、的確な質問が浴びせられ、登壇者が次々に応答を行うという、知的刺激に溢れたセミナーでした。
これらの身に余る共同研究の機会やセミナーへの参加に心より感謝すると共に、頂いた研究機会・知的刺激をものにできるよう邁進する所存です。
研究発表
ワシントンD.C.にて開催されたPAAにて、インドネシアにおいて2004年の津波が家族形成行動と子どもの健康に与えた影響に関する論文、日本における結婚と出生の意識上での強い結びつきに関する論文、の口頭発表を行いました。特に津波論文では、分野の第一人者らで満席になった会場において、プレゼンを行い、緊張で身が引き締まりました。災害と人口学分野の第一人者であるG教授、M教授、F教授などからコメントを頂くなど、とても貴重な機会でした。
自らの発表終了後も、出来る限り多くのセッションに足を運び、研究の最前線を知ることができたのは、僥倖でした。日本に関する研究を行う研究者の間でのディナー、Princeton University関係者でのディナー、知り合った研究者との食事など、セッション外でも多くのネットワーキングの機会があり、非常に充実した学会となりました。
プリンストンでの生活
プリンストンはニューヨークから電車で南西に1時間半という好立地であり、雰囲気は村上春樹の『やがて哀しき外国語』に綴られるように、外界からやや隔絶された印象もある、所得水準が高めな平和な町です。スーパーが徒歩圏内に存在しないなどの問題は、大学院向けのLunch Seminarに出席し、提供される昼ごはんを食べながら研究発表を聞き、昼ごはんの残りを夜にも食べることで概ね解消されました。教授宅にディナーに招いて頂く、オフィスメイトとディナーに行く、などの有り難い機会も数多くありました。週末は友人と食事をする、日本スーパーのMaruichiにておにぎりを買う、などで食料を調達しました。週末の余暇には、研究の他に、街の散策、友人との会合、等に費やしました。Princeton Record Exchangeという店は中古のCDやレコードを多く扱っており、何度か足を運びました。
家探しが最大のネックでしたが、OPRの建物から徒歩20分強のAirBnBに滞在しました。私と類似の身分で研究滞在している他大学の研究者の方々も、同様の方法で極力出費を抑えているものと思われました。
最後に
末筆となり恐縮ですが、今回のあまりにも恵まれた滞在が実現したのは、OPRのセンター長であるR教授のご厚意、そしてFriends of UTokyo, Inc. 様のご支援によるものです。本当に心より感謝申し上げます。今後とも研究活動に邁進して参ります。


