Friends of UTokyo, Inc.

by Suzuho Masago

クラスターメイトとの写真
(CBSでは70人前後の固定クラス(クラスターと呼びます)
で必修科目を受けます)

Columbia Business Schoolに留学しております正子涼穂と申します。FUTIからの温かいご支援のおかげで無事に1年目を終了することができました。心より感謝申し上げます。以下にて、入学してからの9か月の歩みをご報告いたします。

コロンビアビジネススクールは予想通り毎日色々な出会いと機会がある学校だと実感しており、充実した日々を過ごしております。ニューヨークという立地のおかげで、毎日色々な業界で活躍するビジネスリーダー達が学校に来て講演などをしてくれます。実務家の話を聞くことは非常に勉強になります。
授業面では、会計・ファイナンス・事業戦略・マクロ経済・ビジネスアナリティクス・マーケティング等の必修科目に加え、デジタル関係などこれまで触れたことはなかったものの面白そうな講義を受講してきました。いずれもグループワークや授業内でのディスカッションが多く、日本の典型的な学校で過ごしていた自分としては最初は慣れるのに大変でしたが、様々なバックグラウンドを持つ学生たちが自身の経験に基づいて互いに意見を出し合って学び合うというスタイルは、コミュニケーションとしてもコンテンツとしても学びが多かったです。(そして私も周囲から学び「洗練された100点の意見が出るまで口を噤むよりは、粗くとも10点の意見を発言するがマシだ」というマインドで過ごしてきました。)  

クラブ活動としては、Social Enterprise Club(社会起業クラブ)、Japan Business Association(日本ビジネスクラブ)、Columbia Women in Business(女性活躍クラブ)、Art&Society club(アート系クラブ)等に所属しております。昨年の秋頃に、Columbia Women in Businessのカンファレンスがあり、私も運営として参加してきました。

日本のジェンダーギャップ指数は先進国最下位レベルですが、日本よりジェンダーギャップ指数が良いアメリカでも女性が社会で活躍するにあたっては葛藤・苦しみがあることを改めて感じました。特に、アメリカにおいては人種問題も絡むため、日本とは異なる意味で複雑な問題となっています。

アメリカではDEI(Diversity, Equity, Inclusion)の議論が活発であり、コロンビア大学も非常に力を入れております。(毎学期、DEIについてのワークショップに参加して単位を取得する必要があります。)アメリカでここまで議論が活発化しているのは、人種・性別など複数の要素が絡み合った構造的要因が根付いているためと実感しています。

私がコロンビアビジネススクールに留学した目的の一つに「社会起業家の支援方法を学ぶ」という目的がございます。ご縁があり春学期は2件のプロジェクトに携わることができました。

1つ目は「Feliciana Coffee」というテキサスにあるコーヒー豆販売を経営する社会起業家の方のマーケティングサポートです。Feliciana Coffeeは南米の女性就労支援と高品質のコーヒー豆栽培とを目的とした会社であり、コロンビア(学校名ではなく国名)出身の女性によって経営されています。女性農家のエンパワーメントとして、コロンビアの女性農家と直接契約し、経済的自立を支援しています。また、サステナビリティも重視しており、ドリップ灌漑や土壌改善などの技術導入、環境保全型農業も推進をしています。私はペルー人・中国人の学生とチームを組み、Feliciana Coffeeのマーケティングサポートを行いました。マーケティング自体、担ったことは無いのですが、「新しいことにチャレンジする」というのも留学の目的の一つであるために精力的に取り組みました。消費者の反応がダイレクトに数値化されて目に見えるので、これまでの官僚やコンサルなどの仕事と全く異なり、手応え感があり非常に面白かったです。チームメンバーにも恵まれたおかげで楽しくプロジェクトに取り組めました。我々の考案したマーケティング施策を実行した結果、消費者に対する認知度やサイトへのアクセス数が明らかに増加しており、Felicianaの社長にもとても喜んでもらえました。また、ともに知恵を出し合い手を動かしたチームメンバーとの仲も深まり、今でも頻繁に交流しています。

2つ目はコロンビアビジネススクールに進学したら絶対に取り組みたいと思っていた「Pangea Project」です。これは発展途上国の社会起業家に対してコンサルティングを行うプロジェクトであり、現地への訪問も行います。韓国人とアメリカ人の学生とチームを組み、インドにあるオーガニック農作物・プロダクトを販売する事業者に対してコンサルティングを行いました。この企業は新興企業であるため、インド内の同業他社と比較するとSNSのフォロワーも少なく、主にマーケティングで苦戦しているとのことでした。前述のFelicianaのマーケティングとは異なり、あくまで施策の提案までで実行まではプロジェクトスコープに含まれていなかったのですが、インド市場を全く知らなかった身からすると大変勉強になりました。本来であれば5月半ばにインド現地に訪問するはずだったのですが、残念ながらインド・パキスタン問題が勃発してしまいフライトも次々にキャンセルされインド人の友人からも「渡航しない方がいい」と制止されたことから、泣く泣く渡航はキャンセルしました。コロンビアビジネススクールに進学した最大の理由であるPangeaが不完全燃焼で終わってしまい、なんともやるせない気持ちはありますが、仕方のないことだと納得しようとしています。両替したインドルピーが手元にあるので、落ち着いたら是非インドを訪問したいと思います。ちなみに、まさに渡航数時間前に飛行機がキャンセルされてしまったため行き場のない気持ちに動かされ、チームメンバーと急遽ナイアガラの滝を見に行きました。荘厳な滝と、半円の虹とのコントラストが非常に美しく、行ってよかったです。

ナイアガラの滝と虹(よく見ると、虹が二層になっている)

(学校によるかもしれませんが)アメリカの大学院では、在校生の出身国を1週間ほど訪問するプロジェクト(「Trek」と呼ばれます)があります。コロンビアビジネススクールも例外ではなく、3月にJapan Trekと呼ばれる恒例行事が開催されました。今年は日本人以外で150人以上もの学生が参加し、京都・広島・東京を周遊しました。私はオーガナイザーの一人で、3月に1週間ほど学生につきっきりで日本を案内しました。ともすれば日本のプレゼンスは落ちている、などと言われがちな昨今のグローバル市況ではありますが、Japan TrekはコロンビアビジネススクールのTrekの中でも最も人気のあるTrekの一つのようです。広島の原爆ドームも行程に組んだのですが、含めてよかったと思います。誰一人としてふざけることなく、真面目に展示を見てくれました。過去に私が修学旅行で原爆ドームを訪れた際には、リアルな蝋人形で当時の凄惨な状況を再現した展示がありましたが、現在はその展示は撤去されており、映像や衣服・装備のみの展示でした。個人的には、あの蠟人形の展示は残すべきだったと思いますが、蝋人形なしでも当時の凄惨な状況を伝えようと工夫が凝らされていました。世界で唯一の被爆国として、各国のエリート層である人々にこの展示を見て何か感じ取ってもらえたのなら、このTrekを開催した甲斐があります。原爆ドーム以外の訪問地は、京都の清水寺・金閣寺などの定番スポットや、宮島、東京です。宮島では鏡割りを披露し参加者に日本酒をふるまうなど、日本の伝統も楽しんでもらいました。(事後に取ったアンケートでは、鏡割りが最も人気なイベントでした。)

宮島で鏡割りを披露した際に、クラスメイトの一部と撮影した写真

1年(正確には9か月)が経ちましたが、あっという間でした。現在トランプ政権による大学への弾圧を目の当たりにしており、混沌とした時期にアメリカで生活しておりますが、貴重な機会ととらえています。複雑な気持ちを抱きながら1年目を終えましたが、時間は変わらず過ぎていくので、自分のやれることを精一杯頑張りつつ、2年目に向けて準備していきたいと思います。この1年間、FUTIの皆様におかれては温かいサポートをいただき感謝しております。2年目も精進してまいります。