2012年3月30日(金)にイェール大学においてTodai-Yale Initiative(TYI) レクチャー・シリーズ の一環として「日中の過去40年;1972年以来の協力と競争(Japan and China for Four Decades: Cooperation and Competition since 1972)」と題するシンポジウムが開催されました。この企画は日中国交正常化40周年にあたって前TYI主担当の松田康博教授を中心に行われ、Friends of UTokyoもグラント付与により援助をしています。
講師は東京大学の川島真准教授(総合文化研究科)、松田康博教授(東洋文化研究所)、高原明生教授(法学政治学研究科)等(発表順)が勤め、Peter Perdue教授(イエール大学歴史学科) 、Frances Rosenbluth教授(同政治学科)、Patrick Cohrs准教授(同歴史学科)がコメンテーターの役割を演じ, イェール大学の研究者、学生などが参加しました。Daniel Botsman教授(イエール大学歴史学科)がシンポジウムの委員長をつとめました。
レクチャーは三つのセッションに分かれ、第一のセッションでは川島教授が「日中関係における歴史的対話と論争(Historical Dialogue & Disputes in Japan-China Relations)」と題し、日中間において歴史認識の異同から生じた政治的諸問題、またそれらの解決に向けての試みについて、特に教科書問題及び川島氏自身も参加した「日中共同歴史研究に焦点を絞った報告を行いました。
第二セッションでは松田教授が「日中の安全保障関係:関心事、競争および意志の疎通(Sino-Japanese Security Relations: Concerns, Competition and Communication)」が報告されました。松田教授は東アジアにおける安全保障の枠組み全体の特徴を論じた上で、その中に日中間の安全保障関連の諸問題を位置づけ、両当事国が夫々各々如何なる意図を持ち、如何にして相互に働きかけを行なってきたか、1970年代から現在に至るまでの過程を跡づけました。
第三セッションにおいては高原教授が「過去40年の日中関係を回想する:それは将来について我々に何を示唆するか?(Reflecting on the Past Forty Years of Japan-China Relations: What Does it Tell Us about the Future?)」と題し、日中国交正常化以後の40年間を10年ごとの四期に分け、それぞれの期間における両国の相互に対する認識・国民感情、経済的諸条件、各々における国内政治、更には両国をとりまく国際的環境等の在り方、といった諸要因を分析し、これらが如何に変動してきたかを跡づけました。
各セッションでは、イェール大学在籍の中国人留学生達をも含めて参加者の間で活発な議論が行われました。
松田康博教授は、当会議の持つ意義を次のように語っています:「イェール大学の中国専門家や国際政治専門家との間で、日中関係に関する高度な知的交流の場を持つことができた。国際社会において、中国や日本への関心が高まっているものの、必ずしも正確な知識に基づく議論が為されているとは言い難い現状がある。今回のレクチャーにより、そうした現状に一石を投じ、日本の専門家の見解を忘れるべきではないとの認識を米国の専門家に持ってもらえるきっかけとなったものと思う。
詳細は以下のURLを参照:
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