Visiting student researcher at Stanford

by Ryohei Yoshimoto

  • はじめに

2022 年度、FUTI 奨学金をいただき、8 月から 10 月にわたって3ヶ月ほど、スタンフォード大学睡眠研究所西野研究室に Visiting student researcher として留学させていただきました。

この場を借りて、改めて心から感謝を申し上げます。

本報告書においては留学の動機や経緯、そして現地で行った研究や研究以外の活動などについて述べさせていただきます。私はサマースクールや交換留学生としてではなく自分で研究室を見つけ留学したという少し稀なケースかと思いますので、もし同様の形で留学する人にとって参考になれば幸いです。

  • 動機と留学先を決めた経緯

動機ですが、まず何よりも、漠然と海外に行ってみたいということに尽きると思います。幼い頃から海外に行き新しい環境や文化に触れてみたいという気持ちがありました。しかし学部時代、新型コロナウイルスの流行や部活動をに所属していたこともあり、留学することは叶いませんでした。そのため、学部 4 年の 1 月あたりから何らかの方法で留学することができないかと考えはじめたのが最初の動き出しだったと思います。探しはじめた時はかなり漠然と探していたのですが、卒業研究を通して研究の面白さを知り、最先端であるアメリカにおいて研究をすることに関心を持ったこと、さらには、テック系企業でのインターンを通し、新たなビジネスが多く生まれるシリコンバレーなどの近くでそのエコシステムに触れてみたいという気持ちがあったこともあり、その辺りで自分の関心の近い研究室を探しはじめました。その時、タイミング良く高校の先輩に、結果的に私の留学先となる西野先生を紹介していただき、西野先生に連絡をとり、留学の受け入れがトントン拍子で決まりました。

  • 行った研究

スタンフォード大学睡眠研究所西野研究室においては、主に二つの研究に携わりました。一つ目は、ブルーライトカットメガネが睡眠の質を上げるのかという研究です。詳しい内容は割愛させていただきますが、本研究は企業との共同研究であり、実際にヒトからデータを取得し社会的に意義のある知見をサイエンスに基づいて得る一連のプロセスを実際に経験することができました。基礎研究を行っている私にとって、新しい経験であり、サイエンスが社会に果たす役割をより実感を伴って学ぶことができ、大変有意義でした。

二つ目の研究は、巷で最近話題の、若返りのためのサプリとして売り出されている「NMN」は睡眠の質を上げることができるのかという研究です。この研究も企業との共同研究であり、こちらはマウスを用いた研究でした。一つ目の研究と同様、社会的に意義のある知見を生み出しうる研究であり、ヒトではなくマウスを用いるため、得られたデータの解釈はより難しくなるのですが、どのようにデータを解釈し、我々の世界に還元するのかということを学ぶことができました。

このように、スタンフォード大学ということもあり、企業との共同研究も多く、社会にアカデミアの研究がどう貢献することができるのかということを実際に経験でき、今回留学して本当によかったと感じています。

  • 研究以外の活動

研究室での活動以外にも、大学内外の様々なカンファレンスなどに参加しました。感じたこととしては、本当に交流の機会が多いということです。大学内においては毎週のように大学のどこかで有名な教授が集まり何らかのカンファレンスがあり、また教授だけでなく企業の人も同じ場でプレゼンを行っていました。さらにそこに来ているのは学部生、大学院生、ポスドクの人、企業の人など多岐に渡っていました。また、大学外においても、Plug&Playのようなインキュベーションセンターなどが多く存在し、そこに人々が集い交流するということも目の当たりにしました。アメリカは人材の流動性が高く、アカデミアとインダストリーの連携がうまく行っているという話はよく聞きますが、実際にアメリカに来てその理

由の一つがこの交流の機会の多さなのであろうと実感しました。

また、東京大学の同窓会を通じて様々な先輩方と知り合ったり、現地でできた友達に招待してもらいアメリカのメガテック企業に訪問するなどし、大変刺激を受けました。

アメリカに来て、研究において学んだことはもちろん大きかったのですが、実際に現地に来て研究以外の場面で感じた刺激は今後の人生の中で私を鼓舞するものになると感じています。

  • 最後に

このように、今回の留学を通じて研究、そして研究以外においても有意義な経験をすることができました。本留学は FUTI 奨学金がなければ難しかった留学だと思います。改めて心より感謝申し上げます。