By Risa Tsuchiya
こんにちは、東京大学法学政治学研究科3年の土谷里紗と申します。
私は2024年1月から5月までUC Berkeley Haas School of Businessに留学をしておりました。今回のレポートでは私の1セメスターのにおける学生活についてご報告させていただきます。
1、学校について
UC Berkeleyはカリフォルニア州立大学の中では最古の歴史を持つ学校で非常にリベラルな校風で知られています。実際に学校の正門では毎日のように様々なデモが行われているのを目にしました。またアジア系学生の割合が比較的高く、アジアに関連した開講授業や図書館でもアジア関連の専門書の蔵書が非常に充実していました。
ここで私はHaas School of Businessに在籍していましたが、Haasでは将来の経営者を養成するというよりむしろシリコンバレーに近い場所柄も相まって社会にインパクトを与える起業家を育てるカリキュラムと感じました。そして授業についても交渉学やリーダーシップマネジメントというようないわゆるMBAの科目のみならず、EntrepreneurshipやAI Ethics、FinTechといったテック系の科目の選択肢が非常に豊富でした。
そして法学政治学研究科に所属する私がなぜビジネススクールを留学先として選んだかというと、留学を通して将来的に国際的かつより多角的なリーガルサービスの提供が可能になるのではないかと考えたからです。私は東京大学では会社法・国際私法を専門に学習し、将来的には渉外事務所にいて企業法務に携わることを希望しております。そして日本においては今後人口減少に伴い国内市場の縮小が予想され市場の国際化が必須の未来であること、更にAI技術の発展により従来の法務関係のみのアドバイスに留まらないリーガルサービスが必要になると考えております。そこでビジネススクールにて国際色豊かな学生たちと経営側の視点を学ぶことでより長期的かつ国際的な経営面の視点を踏まえたリーガルサービスの提供が可能になると考え、留学を決意しました。
2、学業面について
今年度私が履修した科目は以下の通りです。
・Entrepreneurship
・Negotiation and Conflict Resolution
・Climate Change and Business Strategy
・AI Business
・Thriving Haas
・Modern Dance
・Voice Class
この中でも特に面白かった授業はEntrepreneurshipとNegotiation and Conflict Resolutionです。EntrepreneurshipではSeries A段階にあるテックカンパニーを素材として毎回の授業がレクチャー、ディスカッションとゲストスピーカーの講義で構成されていました。そして学生の中にはすでに起業している人も複数名おりディスカッションが非常に白熱し、またゲストスピーカーも起業家に留まらず弁護士や投資家、銀行といった様々なアクターからの会社に対する見方を知ることが出来ました。またNegotiation and Conflict Resolutionは、ビジネスにおける様々な交渉局面を想定したロールプレイングを行い、事前準備から交渉過程、結果を集計・点数化して最後に教授がレクチャーを行うという形式です。想定される交渉場面としては1対1交渉やグループによる役割分担をする交渉、さらには交渉決裂の方が双方にとって良い結果を導き出す交渉などがありました。その中でも異なる文化圏同士の交渉という回があり、日本対アメリカという設定で行うものでした。用意された役割に基づく交渉が終わった後に教授が振り返りにて、「日本人の発するYesやInteresting」の本当の意味や「各文化圏の一回の交渉内におけるNoと言う回数」などの客観的データを紹介していました。ここでは日本国内では絶対に学ぶことの出来ない、外から見た日本人像や日本文化が語られており非常に面白かったです。
そしてビジネススクールは比較的年齢層が高く留学生の割合も高かったことから、私は現地アメリカ人の学部生との交流を持ちたいと考え、Modern DanceとVoice classを履修しました。BerkeleyではMusicやPerformance Artの科目が非常に充実しており、
特に Danceではただ踊るだけではなく、アメリカにおけるモダンダンスの歴史や即興舞踊の理論的な角度からの検討、ダンス中の空間把握のメカニズムなど座学的視点からの授業が非常に興味深かったです。
3、その他の学生生活について
(1)寮について
私は留学生が多く住むUC Berkeley International House(以下、I Hous)に滞在しました。そしてI Houseは、「ただの住居ではなくmissionである。」という標語を掲げ、その言葉通り一般的な学生住居とは異なる特徴がいくつも存在します。
まず1点目は大きなダイニングホールです。I houseではダイニングホールにて3食が提供されますが、約10人がけの大きなテーブルで毎日食事をすることで新たな出会いや会話が生まれます。私も毎日毎食できる限り違う友人と食事をするように心がけ、お互いの国・文化の話や専攻、将来の話など表面的な会話に留まらない交流をすることができました。2点目はコミュニティの醸成です。I houseではほぼ毎日イベントが開催されており、自分の興味のあるものに無料で参加することができ、イベントを通して年齢や国籍、専攻も全く異なる学生同士で仲良くなることが出来ます。具体的な内容としては、キャンプやダンス教室、ゲーム大会に各国文化イベントなど多岐に渡りました。そして私は他の日本人留学生と一緒に日本文化紹介イベントを企画・運営し、着付けや伝統文化の体験、日本食の提供などを行い、約200人以上が来場し非常に盛り上がりました。
(2)課外活動について
留学生としての大学院生活はどうしても留学生同士で固まってしまいがちであるため、現地アメリカ人学生との深い交流を持ちたいと考えた私は競技社交ダンス部に入部しました。ここではUC Berkeleyのvarsityチームとして競技会に出場するため週4回練習があり、チーム内で留学生も私1人であったため時には孤独感や感じることもありました。しかしコンフォートゾーンに居てはいけないと自分を奮い立たせ、チームメイトと積極的に会話をしたり練習に真剣に取り組んだりしたことで最終的には仲間として受け入れてもらい、自分の居場所を自分の手で作ることが出来た充実感を感じました。
(3)休日の過ごし方について
留学前半はアメリカの大学の膨大な課題の量に圧倒され、予習に必要なリーディングやアサイメントに取り組んでいたら週末があっという間に過ぎていたというような日々が続きました。しかしセメスターの中盤からは要領を掴み、勉強の息抜きに校内で行われているBerkeleyのスポーツの試合を友人と見に行ったり、自国の料理をキッチンでふるまったりというような過ごし方をしていました。そして1週間の春休みにはワインで有名なナパ・バレーとヨセミテ国立公園まで車で足を伸ばすことが出来ました。
4、終わりに
今回の私の充実した留学生活は東大友の会のご支援無くしては決して実現し得なかったものでございます。末筆ではございますが、温かいご支援をくださりましたこと心より御礼申し上げます。そしてこれからはFUTI奨学金のアラムナイとして恥ずかしくないように、司法修習そしてその先のキャリアである弁護士として邁進して参ります。