FUTI 尾島理事長、東大本部と伊藤財団を訪問しパートナーとの絆を深める

FUTIの尾島理事長は、今秋3週間程帰国したが、日本滞在中、重要なパートナーと関わり、感謝の意を伝える絶好の機会を持つことが出来た。東大、理研、企業での講演や同期、同窓会と多忙であったが、その中で特に重要な目的はFUTI理事長として、お世話になっている方々に感謝の意を伝える事であった。東大総長、社会連携本部、及び伊藤財団への訪問に関しては、東大渉外部門の堺シニア・ディレクターに大変お世話になった。残念ながら信越化学工業訪問は見送りとなった。 

[藤井総長・津田副学長との会合] 

10月24日午後、尾島理事長は、津田淳副学長、松下重悳理事とともに、学長応接室で藤井照夫東京大学総長と懇談した。尾島理事長は、FUTI元理事長である故小林久教授の追悼会共催への東大のご尽力に深謝した。また、昨年度、過渡期に1名の学生を支援した「周順圭・周滝沢愛子 奨学金」が、今年度、東大ニューヨークオフィス(NYO)からの寄付により、5名の学生に支給されることになったことを報告した。その後、多くの奨学生たちの輝かしい功績や、今年度から再開される「FUTIトラベル・アワード」など、様々な話題について会話が弾んだ。 

藤井理事長はFUTIの貢献を称え、ボランティアでありながら精力的に活動するFUTIの理事達に賞賛の言葉を頂いた。NYOの今後の活動方針については、現状をベースとして米国大学との共同研究など、さらに発展させて行きたいと述べられた。また、東大発のベンチャーキャピタルである「東京大学エッジキャピタル」を通じた米国での共同プロジェクト推進にNYOを活用する可能性に関しては、米国進出の場合は別法人を通すというのが現在の方針であるとの事であった。 

(左より)FUTI松下理事、FUTI尾島理事長、東大藤井総長、東大津田副学長

藤井理事長との懇談の後は、隣接する副理事長応接室で、津田副理事長、平野裕士社会連携部長、同部手塚安澄企画課長、白石郁江アソシエイト・ディレクター、と堺飛鳥シニア・ディレクターとの情報、意見交換を行った。平野部長と手塚課長は、毎年東大で開催される留学フェアでFUTIのブースを設けて頂くなど、FUTIにとってかけがえのない存在である。松下理事、尾島理事長からご両名に深い感謝の意を表した。新組織GlobE(Center for Global Education globe.u-tokyo.ac.jp)を含め、アットホームな雰囲気の中、様々な話題について、忌憚ない意見交換を行った。GlobEは「国際化教育の全学プラットホーム」として今年4月に発足し、副学長グローバル教育センター長の矢口裕人教授が中心となって活動しており、従来の留学支援制度に加え、SDGs(Sustainable Development Goals)に関連した24の「グローバル教養科目」を、30数名の特任講師・教授が英語で開講している。対象は専攻が決まっている2年生以上、大学院生、交換留学生で、単位認定は各学科で個別に判断されるとの事であった。

[周順圭氏との会合]

「周順圭・周滝沢愛子 奨学金」等で支援を頂いている周博士の、東大への多大なご貢献に対して、10月24日夕刻に東大から顕彰されることとなり、周博士・ご夫人・ご令嬢が来日され、会場の伊藤国際学術研究センターに来られた。幸い、堺シニア・ディレクターの手配で、授賞式前に尾島理事長と松下理事は周ご一家と歓談する事が出来た。三島渉外部門長も懇談に加わった。周博士は87歳のご高齢にも関わらず大変お元気で、活発にお話された。尾島理事長は、周博士からNYOへの多大なご寄付の一部が今年からFUTIで「周順圭・周滝沢愛子奨学金」として活用され、今年度は5名の奨学生を支援できた事をご報告し深く感謝した。周博士は資金の流れとFUTIの位置付けを踏まえた上で、御寄付の活用と善意のサイクルがFUTIで進行している事をたいへん喜ばれ、「よろしくお願いします」と仰って下さった。 

周博士は東京工業大学電気工学科を卒業後、東大大学院に進学し、工学博士を取得された。その後、スタンフォード大学で成功の礎を築かれた。連続起業家、投資家として有名で、熱心な慈善家として教育関連を中心に多大なご寄付をしておられる。次々に成功を続けられた秘訣についてお尋ねしたところ、周博士は「私は自分の知っている分野で起業したことはありません」と答えられた。チャンスを察知し、新しいビジネスに投資し、立ち上げる支援をする卓越した才能と勇気を明示している。また「日本の半導体事業はこれから有望だ。なぜなら、設計・製造・応用を含め、また材料・設備も含め、全て国内で揃う日本は世界でも珍しいから」と言われた。 

周博士御夫妻とご令嬢との会合はとても和やかな雰囲気の中で行われ、集合写真にもそれが良く反映されている。 

(左より)周令嬢、周博士、周夫人、尾島理事長、松下理事

[伊藤財団] 

10月30日午前に、尾島理事長、松下理事、細田満和子諮問委員、と東大の堺シニア・ディレクターが伊藤財団を訪問した。伊藤謝恩育英財団は国内で高校生を選抜して大学4年間を支援し、更に一部は大学院まで支援している。一方、米国伊藤財団は米国留学する日本人学生を対象とした「米国伊藤財団―FUTI奨学金」のスポンサーである。両財団とも(株)セブン&アイ・ホールディングス (HLDGS) 前名誉会長で創業者の故伊藤雅俊氏の日本および米国における資産で設立された財団である。 

3月に伊藤雅俊氏が99歳を目前に逝去された事に伴い、理事長職を初め財団担当者の変更があったので、FUTIとしては伊藤財団の新しいリーダーシップと会う良い機会となった。財団からは、伊藤順郎セブン&アイHLDGS代取専務・米国伊藤財団理事長、山本尚子(ひさこ)伊藤謝恩育英財団理事長、藤岡秀多(ひでかず)両財団の常務理事、遠山嘉一伊藤謝恩育英財団選考委員(FUTIのOnline面接にも参加)、山本朝子秘書(両財団の管理業務)が出席され温かく応対して下さった。藤岡氏はJALを定年後、伊藤財団に加わり、新体制での中心人物になられた。

始めに尾島理事長が伊藤雅俊前理事長のご逝去のお悔やみを伊藤順郎氏と山本尚子氏に申し上げ、毎年多大なご寄付を頂戴している事、また遠山様・山本朝子様には大変お世話になっていることのお礼を申し上げた。松下理事はご寄付により今年度は5名の奨学生の支援ができたが、円安と米国のインフレにより、留学費用が高騰しているため、留学支援の需要は益々高い事を報告した。様々の話題で歓談した後、米国伊藤財団は引き続きFUTIへの支援を行う事を確認して下さった。松下理事が12月初旬に毎年行われる奨学生とのオンライン懇談会にご招待した所、多分藤岡氏、遠山博士、山本朝子氏が出席されるであろうと云う事であった。

(後列左より)FUTI細田博士、山本尚子理事長、東大連携渉外シニア・ディレクター堺、常務理事藤岡。(前列左より)遠山博士、FUTI尾島理事長、伊藤理事長、FUTI松下理事。

上記の通り、今秋の尾島理事長の東京訪問は、パートナーや サポーターとの絆を深める素晴らしい機会になった。特に、コロナ禍で失われた対面でコミュニケーションを再構築出来た事は非常に有意義であったと云える。FUTIの活動を意味深く、インパクトのあるものにするためには、このような相互の感謝と理解を伴う人と人との交流が極めて重要である事を改めて確信する機会でもあった。