2024-2025年度奨学金プログラムの報告

FUTIは奨学金事業として、東大と米国各大学との間の双方向の夏季短期留学と、主として東大(学部生・大学院生・卒業生)から米国への1学期以上の中長期留学を支援する奨学金の支給を行っています。本事業の趣旨にご賛同頂いた有難いご寄付が源資です。①2016年度から主柱として支えて頂いている「米国伊藤財団-FUTI奨学金」は、(株)セブン&アイ・ホールディングス前名誉会長の故伊藤雅俊氏が創立された米国の財団からのご寄付によります。②2023年から本格的に加わった「周顺圭・周滝沢愛子 奨学金」は、東大大学院で学ばれた後、米国で半導体事業で成功された周氏ご夫妻が、東大New York Officeにご寄付下さった基金からFUTIが頂いているご寄付が源資です。③2008年以来の「FUTI奨学金」は、多数の東大卒業生の個人寄付と、信越化学工業㈱の米国法人Shintech Inc.のご寄付によります。

米大から東大への夏季短期留学に関しては、コロナ前は数十名の応募から十名前後を採択して来ました。コロナ期の低調を経て2024年度には、33名の応募に対して7名を採択しました。2023年度は32名から11名でした。2024年度の採択者の内訳は、理学系InternshipのUTRIP計画で2名、柏系のUTSIPで2名、California大の海外教育計画UCEAPで理学系UTRIP相当の2名、及び医学部への留学が1名でした。2024年度は採択レベルが多少厳しかったかも知れません。

東大から米大への夏季短期留学に関しては、コロナ前は約二十名の応募から七名前後を採択して来ました。コロナ禍の低調はまだ継続しており、2024年度は14名の応募から5名を採択しました。2023年度は7名から4名でした。2024年度の採択者のうち2名採択のGEfIL計画は、東大生2年秋に全学から百名程度を選抜して課外時間に英語によるLeadership教育をするもので、2回の夏休みには海外短期留学が必修で、授業料の半額相当の奨学金付きですが、優秀者の不足分をFUTIが支援しています。他の3名は自分で留学先を開拓しました。

東大から米大への1学期以上の中長期留学は、コロナ前にも、また2021-2023年度にも、約三十名の応募から約十名を採択して来ましたが、2024年度は応募者がかなり増えて38名でした。増加の主因は、学内選考と推薦で協定校に2学期留学するUSTEP計画の参加者からの応募が増えたことです。38名の応募から14名を採択しました。うち3名は限定金額の奨学金です。そのうちの2名は、USTEPで日本学生支援機構=JASSOの奨学金と併給で、JASSOの併給条件から我々の支援に上限がある場合でした。但しJASSO+「米国伊藤財団-FUTI奨学金」よりもやや多い奨学金をJASSO併給無しで他から貰えた1名は辞退しました。限定金額の1名は、米大PhD課程から充分な支援が受けられる方には初期費用相当額だけを支援している例です。

採択14名の内訳は、学内選考で推薦を得た学生が、協定校に留学するUSTEP制度の3名(学部生2名中1名は上記のように辞退、及び珍しい博士課程1名[1])と、準協定校のUC Berkeleyに留学する2名、東大の公共政策大学院を1年間とColumbia大の同課程1年間の就学で両大学の修士が得られる協定制度で留学する2名、卒業で東大を離れて米大に留学する2名(うち1名は上記のPhD課程)、過年度卒業者3名、既に周奨学金で昨年留学中で2024年度に2年目となる1名、及びIF-Ikuei枠で1名となります。IF-Ikuei枠は、米国伊藤財団のご要請で、東大出身者以外にも門戸を広げた枠で、今年は筑波大学の卒業生が採択されました。筑波大学では、卒業して留学する学生を支援する制度が無いとのことでした。

頂いたご寄付を最大限に活用し、奨学金で将来のリーダーを支援・育成する事業に、FUTIは今後とも真摯に注力して参ります。

[1] この方は、学部卒から米大PhD課程への入学許可を得るという珍しい快挙を遂げたのでそのノウハウを伺うと、学部2年の時から米大の教授に売り込んで遠隔助手になり、期待以上の成果を挙げるように努力した結果、3大学からPhD課程入学許可を得たとのことでした。