2021年度のFUTIの奨学金事業実施状況

昨2020年度の奨学金事業はCOVID-19に多大な影響を受けましたが、今2021年度は短期と中長期で明暗を分けました。即ち、日米両方向の夏季短期留学に関しては、渡航を含む留学は2021年度も全面的に中止となり、小規模ながらも東大生4名、米大生1名の渡航無しのOnline授業受講を支援しました。一方、米国伊藤財団―FUTI奨学金による米国への中長期留学の支援に関しては、高い需要に支えられ、また、小規模になってしまった2020年度を挽回する方向で財団のご理解を頂き、留学生側の捲土重来の試みも加わって盛況でした。結果的に11名の留学を支援できました。

この明暗の差を考察すると、短期留学は夏季で、中長期留学は秋から2学期以上がほとんどなので、COVID-19の感染状況の時期的な見通しの差もあったと思います。しかし次のような構造的な理由もありました。短期留学は大学の送り出し制度と受入れ制度に大方(おおかた)依存していますので、大学がCOVID-19の理由で短期留学制度を取りやめたことが原因です。おそらくその理由は、短期留学は大学の教育事業における影響度が相対的に小さいという判断と、多様な学生を導く制度に万一の過誤があってはいけないという安全性の重視があったものと想像されます。

それに対して大学の留学制度への依存度が比較的小ない米国への中長期留学では、留学生の留学意欲と米大側の教育的意欲がCOVID-19に関するリスクを乗り越えたように見えます。またCOVID-19の為に2020年度に決まっていた留学を断念した留学生が、1年越しに留学を確定した例も複数ありました。

2020年度と2021年度はCOVID-19対応の特別処置として、夏季短期の渡航を含まないOnline授業の受講を支援させて頂きましたが、2022年度には従来の支援に戻す方針です。この方針が覆るほどパンデミックの被害が拡大しないことを心から祈っています。Online授業の受講を支援を止める理由は、相手国に住んで生活することも留学の重要な一部である事、そして奨学金を活用して頂く勉学の実態や継続状態を把握し難いという理由からでもあります。

2021年度の米国伊藤財団-FUTI奨学金の奨学生11名の内訳は、東大と米大の双方の修士学位が取れる制度に参加する1名、学部卒で米大修士への留学が1名、修士卒で米大の博士課程に留学が1名、過年度卒業者で改めて留学する4名、東大博士課程在籍者で東大で博士論文をまとめるために一時留学が2名、2020年度に過年度卒業者として留学し今年2年目となる1名、京大修士卒の後米大修士課程で学ぶ1名です。

2022年度の留学事情がCOVID-19に大きく影響されないことを願っています。

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