齊藤真理恵博士(ノルウェー生命科学大学 生物科学部 助教授)を囲む講演会:「ゲノム進化を追いかけてー日本から米国、そしてノルウェーへ」

9月18日に、齊藤真理恵博士(ノルウェー生命科学大学生物科学部 助教授)を囲む講演会が開催されました。講演は、さつき会アメリカ、東大友の会主催で行われ、シカゴ赤門会および、FUTI Alumni Associationが共催しました。米国、日本、ヨーロッパなど世界各地から、様々なバックグラウンドを持つ20余名が参加し、大盛況でした。 

斎藤先生は、先ずご自身の研究概要、そして日米欧の研究体制の比較について感想も含めて説明されました。更にノルウェーでの暮らしについてなど、幅広くお話をしてくださいましたので、その後のQ&A session はとても活発な意見交換がなされ大変有意義な会になりました。

「国際的なJob search と研究室の立ち上げにはどの様な苦労がありましたか?」 
「日本/米国/ノルウェーの教育制度/研究システム/労働環境の違いは何ですか?」 
「国際的なキャリアを目指す現役の大学生、大学院生は将来に向けて今何をしておいたら良いでしょうか?」 

など多岐にわたる質問がありました。 

また、日本、米国、ノルウェーとご活躍の齊藤先生をロールモデルとして東大女子学生、卒業生の多くが「国際的に活躍し、しかも充実した人生を送る」ようになるには、どのような社会や大学の体制や価値観作りが必要なのだろうか?という問題も提起されました。 

最後に、津田敦執行役副学長(社会連携推進担当)が次の様に総括として挨拶をされて閉会となりました。「現在東大では、藤井総長の元でdiversificationが強調されており、女子学生、女性研究者の数を増やすなどの努力がなされています。そして女性の社会進出には日本社会の働き方(雇用体制)全般の改革が必要なのではないかと言われています。本日は、このような貴重な課題を皆さまと一緒に議論・検討することができ、大変感謝しています。」

 <講演要旨> 

講演者は生物学分野の研究者として、日本で博士号を取得後、米国で博士研究員として勤務し、2020年にノルウェーで自身の研究室をオープンしました。ノルウェーでは、研究者人口が少ないながらも質の高い研究が行われています。また、多様性の推進・ワークライフバランス・学生や研究者の権利などについても学ぶことが多くあります。本講演では、日本・米国・ノルウェーの研究・教育システム、労働環境について講演者の経験を踏まえてご紹介し、参加者の皆様と様々な角度から議論していけたらと思います。

ノルウェー生命科学大学助教授。千葉県出身、桜蔭高校出身。2012年東京大学理学部卒業(理学部長賞受賞)。2017年3月東京大学大学院理学系研究科修了、博士(理学)取得(JSPS特別研究員DC1)。ニューヨーク州立大学 バッファロー校ポスドク(2017-20年、アステラス病態代謝研究会奨学生)シカゴ大学ポスドク(2020年)を経て、2020年11月より現職。2019年アメリカ遺伝学会DeLill Nasser Award受賞、 2019年国際分子進化学会Young Investigator Award 受賞。