米国伊藤財団の資金提供で今年から始まった米国伊藤財団-FUTI奨学金は、短期留学と違って東大から米大学への1学期以上の中長期留学を主対象にしているため、どの程度の 応募者が集まるか予測できませんでしたが、結果的には多数の優秀な応募者がありました。東大本部と各学部各研究科の周知努力が実ったものと感謝しています。米大学から東大への留学も従対象として受けるのですが、今年は応募がありませんでした。
初年度の応募状況を見ますと、結果的に三種類のタイプに分類されることが分かりました。①東大を卒業後に米大学で建築やデザインのような特定の専門性を身に付ける修士課程に進む学生、②それに似ていますが、東大を既に卒業し米大学修士課程に在学中で学費を必要としている学生、③諸般の事情で東大の学部生留学制度に乗らない東大学部生、です。3つとも、東大の現留学支援制度に乗らないニーズによるものでした。東大の学部からの留学生は、申請時期が早い東大斡旋の日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を申請する人が多いのですが、JASSOの金額以上の奨学金を他から受けてはいけないという制約があり、金額的に限定されます。
優秀な学生が多く少数精鋭に絞り兼ねた一面もありましたが、奨学金委員全員が応募者全員を選考する形で慎重に協議の結果、フルサポートに近い奨学生を2名、部分サポートを8名、計10名に奨学金を支給することになりました。なお来年度も留学が続く可能性が高い学生についても、コミットは今年度だけとし、来年度は改めて応募して頂くこととしました。今年選ばれた奨学生10名中、女性が5名で、男女半々となりました。
ほとんどの奨学生は秋学期からの支援ですが、一部夏学期からの支援もあって、既に奨学金の支給は始まっています。優れた奨学生を選考できたので、米国伊藤財財団もFUTIも幸せと達成感を共有しています。今後も青雲の志が高い各奨学生が、財団とFUTIの期待に応えてくれることを切望している次第です。
2016度奨学生のリスト
応募時の東大での学部、学年(または卒業年度)、留学予定のプログラム、大学は以下のとおりです。
東大博士課程学生(2名)
- Xu, Bochen(総合文化研究科博士課程、2年):留学先大学は未定
- Schumacher, Kim(国際環境博士課程、3年) :政治/国際政策比較、ハーバード大学
東大既卒・米修士課程学生(3名)
- 浅井 淳平(土木工学修士卒、2015):ランドスケープ・アーキテクチャー修士課程、カリフォルニア大学バークレイ校
- 後藤 美波(美術史卒、2015年):映画制作修士課程、コロンビア大学
- 山下 絢子(教育学部卒、2009):社会・組織心理学修士課程、コロンビア大学
東大学部卒見込(2名)
- 西川 尋哉(物理、4年):物理・天文博士課程、ジョンズホプキンス大学
- 古澤 えり(建築、4年):都市計画修士課程、コロンビア大学
東大学部生(3名)
- 日下部 夏希(教養 国際関係、2年):学部生交換プログラム、イリノイ大学
- 西山 希 (機械、2年):学部生交換プログラム、MIT
- Kim, Myeongok (PEAK環境、理科II、2年):学部生交換プログラム、スワースモアカレッジ