
2024年8月9日、東大友の会(FUTI)は、「東大が世界的に影響力を拡大していくためには?」と題した第2回ファイアサイド・チャットをオンラインで開催しました。FUTI理事のギータ・メータ氏がモデレーターを務め、東京大学の国際的プレゼンスを高めるための戦略についてパネリストたちが議論を交わしました。
FUTI理事長でストーニー・ブルック大学化学特別教授の尾島巌氏は、東京大学の歴史的な躍進と世界大学ランキングにおける最近の順位下落を振り返り、その原因を欧米中心の評価基準にあると指摘しました。そして、進化する東京大学のミッション、すなわち、「Future Society Initiative」や「College of Design」といった活動を通じて複雑な社会問題に取り組むことを強調しつつ、これらの評価基準に適応する必要性を提案しました。
FUTI諮問委員でハーバード・ロー・スクール講師の董克勇氏は、世界的な影響力を持つことの必要性とその意義について問いかけ、東京大学はランキングを超えた新たな影響力の形を再定義すべきだと提案しました。また、文学やスポーツといった文化的輸出を「ソフトな」影響力の例として挙げました。
FUTI諮問委員でHR&A Advisorsの都市プランナーである古澤えり氏は、東京大学の男女平等と国際化における進展ついて考察しました。古澤氏は、東京大学とコロンビア大学での対照的な経験を基に、東京大学がより包括的な施策を採用し、国際的なアウトリーチ活動を拡大するよう求めました。
その後の活発なディスカッションでは、参加者が多様な視点から意見を交わしました。主な提言として、学生募集の改善、国際的なパートナーシップの促進、キャンパス内の学生団体の支援、東京大学の広報活動の強化などが挙げられました。また、複数の参加者が、東京大学が卒業生の業績をより積極的に公表し、グローバル・ブランドを強化する必要性を強調しました。
今後の展望として、パネリストたちから大胆なアイデアが提案されました。尾島教授は国際的な協力関係の強化を、古澤氏は留学生に友好的な日本の未来像を提案しました。董教授は、教員の給与改善や煩雑な事務手続きの軽減といった制度改革の必要性を強調し、また、世界トップクラスの教授や学生を惹きつけるためには、東京大学の管理運営体制の刷新が必要と述べました。
また、東京大学は世界的な影響力を持つ特定の分野に優先的に取り組むべきか、あるいは、より広範な社会的影響力を目指すべきかについても意見が交わされました。最後には、大学ランキング、社会貢献、グローバル・リーダーシップ、戦略的な計画立案、投資の拡大、そして包括的で世界的に尊敬される学術機関を目指すというビジョンの間でのバランスが重要であることがパネリストおよび参加者の多数から強調されました。