米国東部時間2024年1月22日(日本時間1月23日)、フィルムディレクターである後藤美波さん(東大OG)による講演と懇親会がオンラインで開催されました。このイベントは、東大友の会の主催で行われ、さらにさつき会アメリカ、NY銀杏会、シカゴ赤門会、FUTI Alumni Associationなどが後援しました。当日は、米国や日本から様々なバックグラウンドを持つ方々30名余りが参加し、大盛況のうちに終了しました。
後藤美波さんはFUTIのサポートを受けながらコロンビア大学大学院フィルムスクールを修了(2018年)された後、日本をベースにしながら国際共同での映画製作に励んでおられます。
この度、後藤美波さんが脚本と共同プロデュースを手がけられた長編映画「ブルーイマジン」が、著名な映画祭第53回ロッテルダム国際映画祭 Bright Future 部門へ選出され、ワールド・プレミアとしての正式上映が決定しました。作品は全編日本で撮影されましたが、フィリピンのキャストとフィリピン・シンガポールの製作会社が関わっている国際共同製作作品で、彼女がニューヨークで学んだことが生かされている作品といえます。
日本版プレスリリース:https://natalie.mu/eiga/news/553729
フィルム関連サイト:https://motion-gallery.net/projects/blueimagine
ストーリーは、性暴力やハラスメント被害者が集まるシェアハウスを舞台に、心に傷を負った主人公が周囲との対話を通じて、再び立ち上がろうとする姿を描いており、3月からは日本での劇場公開も決まっています。
Trailer(予告編)上映に加え、後藤さんから映画制作についての裏話や期待(Opportunities)などを参加者の皆様と共有していただきました。参加者からは、「映画製作のライフサイクル(作り方)」や「プロデューサーとしてチームをまとめる難しさ」などがよく理解できたといった感想を多数いただきました。
講演に続いた質疑応答では、内容の深い質問、意見交換が行われました。 以下はその一部です。
(参加者)
どのような経緯でこのテーマに取り組まれましたか?
(後藤)
自分の問題意識から、身近なところからスタートしました。どのようにエンタメとして昇華させるかが課題でした。
(参加者)
コロンビア大学フィルム・スクールでの経験についてお話しください。
(後藤)
フィルム・スクールの学生のカラーはさまざまです。コロンビアの特徴としては、とても国際的で、同期生60〜70人のうちに約25人ほどの異なる国籍の学生がいました。映像関係出身でない学生も多かったです。映画産業の仕組みやカルチャーが国によって全然違い、正解がないことを知ることが良かったです。
(参加者)
NYでの経験と、ブルーイマジンの関係は?
(後藤)
#MeToo movementのときにNYにいました。そのときにクラスメイトと話したことや、アメリカにいながら日本の状況を見たときに感じたことをフィルムに反映しました。
(参加者)
多様性のあるキャラクターをどのように脚本として書かれましたか?
(後藤)
例えば、弁護士のセリフは法学部の友達に監修してもらったり、 フィリピン人のキャラクターを理解するためにリサーチをして、日本人と結婚したフィリピン人にインタビューしたりしました。
最後に、FUTI Alumni Association Presidentでおられる羽場氏が閉会の挨拶をされ、「FUTI受賞生の世界的な活躍を見ると、同世代のFUTI同窓生の励みにもなった。」と述べられました。また、参加された東大友の会理事のかたはは「東大で芸術分野を目指す方が少ない中で、映画を撮るというパッションを持っておられた後藤さんの奨学金応募エッセイが多くのFUTIメンバーの記憶に残っており、この度の活躍が大変嬉しい。」と語られました。また、その後の懇親会では、参加者の多数の方が残り、白熱した議論が続けられました。
文責:イベント準備委員
後藤美波さん略歴
2015 東京大学文学部歴史文化学科卒業
2015 総合文化研究科超域文化科学専攻入学(途中退学)
2015 Columbia University in the City of New York, School of the Arts 入学
2018 Columbia University in the City of New York, School of the Arts 修了
Jack Larson Award for Collaboration – Short Film Project Kiko
avex digital AWARD – Short Film Project Breakers
Photo credit: 「ブルーイマジン」公式サイトから。