ソニー・エレクトロニクス・インク(米国)元社長、ソニー・ユニバーシティ元学長、東大友の会の支援者、青木昭明様が去る8月10日、膵臓がんのため死去されました。享年79歳。
青木氏は東京都出身、1960 年日比谷高校卒業、1964 年東京大学物理工学科を卒業後、直ちに米国ノースウエスタン大学大学院に留学され、1969 年材料科学科で Ph.D.を取得、1970年ソニー株式会社に入社。研究及びマネージメントで要職を務め、1988 年 R&D 戦略グループ本部長、1989 年取締役、1990 年記録メディア事業 本部長、1996 年常務取締役、1997 年執行役員上席常務、1998 年-2000 年、ソニー・ エレクトロニクス・インク(米国法人)社長兼 COO、2003 年、ソニー株式会社業務執 行役員専務に任命されるなど、目覚ましいスピードで昇進され、特に半導体分野を中心とす るビジネスで精力的に活躍されました。更に2005 年-2015 年、ソニーユニバーシティ学長、2008 年-2009 年、財団法人ソニー教育財団副理事長、2006 年-2014 年、マイクロン・テクノロジー・インク(米国法人)社外取締役、 2007 年-2015 年、シチズン・ホールディングス(株)社外取締役、 2011 年-2014 年、マイクロジャパン(株)代表取締役、2014 年-2017 年、アンリツ(株)社取締役など、大学教育やソニー以外の会社の運営にも携わり、母校である米国ノースウェタ ン大学の Kellogg School of Managementのアドバイサリーボードメンバー、日本工学 アカデミー会員、IEEE(米国電気電子工学学会)の終身フェローでもあられました。
青木氏は「東大友の会」を長年支援され, ニューズレター第 10 号(2014 年春)の 「寄付者メッセージ」の欄で「人生を振り返ってみて、『若い時に異文化に触れるこ と』が如何に大切かを痛感している。自分の留学経験から、東大の学生に米国への留学 を、米国の学生に東大への留学を是非とも勧めたい。…ソニーに入社して 2 度にわたり米国に赴任し、グローバルに活躍できたのは留学経験によるところが大きい。 …. 大学院時代に培った米国での人脈、また米国で知り合った日本人の人脈の双方に より、ビジネスを進める多くの局面で随分と助けられた。」と語っておられます。
東大友の会元理事長、プリンストン大学の小林久志名誉教授は青木昭明氏について、 「ソニー・フェローシップ(大学院生への奨学金)や信号処理研究室への寄贈などを通 じ、ソニー社とプリンストン大学との関連強化のために、青木さんが 1990 年にプリン ストンを訪問されて以来、30 余年にわたり 親友であった青木さんを急に亡くし、大変 悲しく思います。ビジネス界で国際的に活躍された青木さんの輝かしい経歴は、『海外 留学体験が、その後の自身のキャリアの発展と自分の会社のグローバル化において、 様々なチャンスを掴む切っ掛けになる』ことを正に立証してくれます。彼と最後にお会 いしたのは、コンサート・ピアニストの礼子夫人と共に、音楽仲間のホームコンサート をご自宅で開催してくださった昨年 2 月1日でした。今年の3月28日には、お嬢様 の野村裕子様が東京オペラシティで開催されたピアノ・リサイタルにご招待頂きました が、コロナ禍のため出席できなかったことを大変残念に思います。仕事では半導体の分野を中心に国際的に大活躍され、家庭では素晴らしい奥様、お子様、お孫様達に恵ま れ、彼は大変充実した人生を送られと思います。青木昭明様のご冥福を心から祈りま す」と語っています。
ご遺族には奥様の礼子様、長男の青木淳様、長女の野村裕子様、実姉の安丸敏子様、実 妹の柏木玲子様、実弟の青木芳夫様の他、4人のお孫様、青木優明君(17)、青木今日子さ (14)、野村小春さん(16)、野村実桜さん(14)がおられます。
謝辞: この記事を準備するにあたり、ソニー・コンピューターサイエンス研究所所長北野弘明 様と秘書チームの方々のご協力頂きました。
寄稿者:小林久志博士(東大友の会元理事長)